マレーシア暮らしの12年間、ほぼ独り暮らしだった。
もともとはカミさんが言い出した海外暮らしだったのに。
何故かずっと独りで暮らしていた。
2011年の8月に60歳になって、定年退職をした
再雇用とかで仕事を延長するなんて事は。
これっぽっちも考えた事はなかった。
退職して3週間後には、マレーシアで暮らし始めていた。
7月に夏期休暇でマレーシアにやってきた時に。
10年間の長期ビザも取って、コンドも借りておいた。
実に計画的、理知的な段取りだった。
半年後にはカミさんが、定年を迎える60歳になった。
退職して、マレーシアにくる手はずになっていた。
これで、日本脱出大作戦は、完璧に遂行されるはずだった
マレーシア暮らしは、どちらかというと、カミさんの方が積極的だった。
私はハッキリ言って、定年後の生活なんぞどうでも良かった。
日本で、新聞をスミからスミまで読んで暮らそうが。
図書館に弁当持参で遊びに行こうが。
公園で鳩に餌をやっていようが、何でも良かった。
別に、人生に目的とか達成感とかも特にない。
昔からそういう人間なのだ。
きっと、うつ病になる事はないカテゴリーの人間だろう。
なのに、カミさんは予想外の行動に出た。
またまた、「後編」に続いてしまいます。